きみがくれたぬくもり 完全版【書き下ろしSS付き】【イラスト入り】
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きみがくれたぬくもり 完全版【書き下ろしSS付き】【イラスト入り】

伊勢原ささら/小椋ムク

ぼくはくまで、くまはぼく...泣

ネタバレ
2022年2月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 不憫受けが幸せになるのが読みたいと手にしたのは自分だけど、やっぱり子供が可哀想な目に遭うのはほんとツライ...

これは...しゃべれないから「くま」を通して話してるってレベルじゃない、乖離性同一障害とほぼ同じだと思いました。
メイを常に前向き発言で明るく励まし続ける「くま」はメイであってメイではない。
メイの希望の人格。
でも本来のメイでもあるんだよな...だって「くま」を買ってもらった頃はおしゃべり好きだったもんね。
無表情で「くま」を通して自分を支え続けるメイの境遇、なによりも他を知らないメイとくまが自分たちを不遇だと思ってなく、小さな幸せを祈りながら日々を過ごしていることに胸が痛みました。

施設で出会った倉本もまた大きな闇と執念を抱えており、斎賀としてメイと再会し心が再び揺れていくのもわかります。
そしてメイとくまを守りながら斎賀自身も心が洗われていく...どう思い描いていたかはわからないけど、復讐が遂げられなくて良かった。
優しく、思慮深く、男らしくメイを救ってくれてありがとう!

かつての「くま」のように感情豊かなメイ、今までの分も斎賀に幸せにしてもらいなさいね!

そしてそして...不器用というにはやりすぎだぞ辰哉!
メイへの想いと様々なもどかしさが狂気となってメイを苦しめまくりますが、垣間見せる優しさにメイとともに憎みきれません、いや憎いか...
そんな辰哉の救済と愛の物語は『恋愛不感症の孤独』で。
(2021年4月/191p)
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