このレビューはネタバレを含みます▼
全ての時間をかけられる程の情熱を注げるものに出会える人は、どれだけいるのでしょうか。そして、それに出会えた人はどれだけ幸福なのでしょう。そしてその情熱は、大切な人を引き込む力も持っています。主人公である千早は、小学生の時、福井からの転校生である新と出会い、彼の情熱に触れ、そして競技かるたの世界に飛び込んでいきます。それはまるで初恋のようにただ夢中で楽しんでいたその世界がリアルに千早の夢になったのは、同世代のクイーンの強さに触れたからでした。何度も泣き、挫けそうになり、それでも、這いつくばってでも夢を掴もうとする千早の強い思いに、読んでいるこちらの心も鷲掴みにされる。そのストーリーの力強さに瞬きも忘れ読み進めてしまいます。アニメや実写映画にもなっていますが、漫画だからこそ札が読まれ取るまでのコンマ何秒という一瞬の間の駆け引き、それぞれの思い、それは競技者だけでなく、競技かるたにかかわる人全ての人の思いがこんなに素晴らしく表現されているのだと思います。まだ原作漫画を読んだことのない方は、ぜひ一気に最新刊まで読んでいただきたい。
個人的に1番好きな40巻、東西代表になった太一と新の決着は、涙が流れました。太一はかるたを辞めることなく、これからも新の生涯のライバルとして戦い続けて欲しいです。『ちはやふる』は後世まで遺したい、素晴らしい漫画だと思います。