薫りの継承【上下巻セット・単行本未収録イラスト付】
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薫りの継承【上下巻セット・単行本未収録イラスト付】

中村明日美子

極上の官能・・

ネタバレ
2022年2月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作家さんの、独特なタッチと描写の繊細さが大好きです・・・・
兄弟間の歪んだ恋愛を、耽美に描いています。まるで服部まゆみさんの小説を読んでいるような、上質なものを知る方にしか描けない世界観じゃないかしら・・・うっとりですね・・。
竹蔵が、義兄:忍への恋心を、その息子:要に悟られ、しかもその要の手引きによって忍への想いを遂げる目隠しプレイは、ある意味背徳感漂う異様な空間であり、官能的でもありましたね・・・どのシーンも息を飲むような空気感がホント素晴らしくて、語り出すと長くなってしまうのですが(^^;本当にどの作品も衝撃的でとても惹かれる作家さんです✨ハピエンではないのですが・・・これはきっと幸せになってはいけない、結ばれてはいけない愛・・・だからこそのあの最後。だけれど2人にとって「愛し合った時間」こそが一番幸せだったはずなので、竹蔵は亡霊のように想い出に囚われながら生きていくのでしょうね・・・それとも・・・・?
息子の要もまたその2人の間柄に感化されたのか・・・・そもそも何故あのように育ってしまったのか・・・要の感情はちょっと私には解り難かった・・・好奇心旺盛で、いつでも冷めていて、そしてきっと誰も愛せない可哀想な人のような気はするけれど。はぁ・・・それにしても読後の余韻が凄い。いつもでも脳裏に焼き付いて離れない作品・・・もちろん、とても良い意味で。
でもまた読んでしまうんだわ、きっと。あの官能の世界に浸るために。
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