天使禁猟区
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天使禁猟区

由貴香織里

救い様もない程ドン底に突き落として救済

ネタバレ
2022年2月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 漫画史に残る程の大傑作だと思ってます。中学生の頃に出会った作品で、当時イラスト集も買うほど大好きでした。当時中学生の私には理解出来なかった人間の心の動きなど30代になった今だからこそ理解出来るお話もありました。存在とは何か、善悪とは何か、など哲学的なテーマや細かい設定が多いのでじっくり読まないとついて行けなくなってしまうかもしれません。歪んだ悲しい恋愛、兄弟愛、親と子の愛など色々と暗く重いストーリーが多いので読んでいて悲しい気持ちになりますが、とことんドン底まで突き落としても救いあげてくれるので読み切れました。珍美で排他的な作品の世界観も大好きです。ベリアル最高。
悪魔が天使より情があったり天使が悪魔より冷酷に描かれていたりして、最終回で語られている様にこの世に善悪には真の境界線がなく天国も地獄もない、という事がストーリー全体の一本の筋として1巻目から最終回まで貫かれていました。壮大で多くのテーマが書かれていているので、同じ読み手でも読む度に作品が何を訴えているのか受け取り方が変わるんじゃないかなと思います。予想ですがミルトンの失楽園を先に読んで居ればこの作品を読んだ時もっと楽しめたのかなと思っています。一生大好きな作品です。
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