トリガー
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トリガー

イシノアヤ

わかってしまう痛み

ネタバレ
2022年2月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 本来の自分を認め、受け入れる苦しさに焦点を当てた、感動の作品です。
……
ゲイなのにホモフォビアとして無理をして生きてきた男が、自分を偽り続けた結果、破綻する。
そこからの再生がそれはもう、苦しいです。
DV被害者の曽根よりも、加害者である三井の方がずーっと痛々しいのです。(決してDVを肯定しているワケではありません)
……
私たちはみんな大なり小なり、自分を偽る事の心の痛みを知っています。
それを正すには、キッカケと大きなパワーを必要とします。
けれど偽らない自分になれた時の安堵や清々しさや幸福感も知っています。
だから今作がとても胸に響くのだと思います。
偽る事が自身の根幹だとしたら、どんなに苦しいのか想像できてしまうのです。
……
三井の行きどころのない感情を真正面から受け止めた曽根。彼もまた過去に苦しみや悲しみや痛みなど、負の感情を乗り越えて来たのだろうと思います。
だから三井を諦めなかったのでしょう。
本当に素敵な受けくんです。
……
三井の過去話のタイトルが「ビューティフル・サンデー」である事。
思春期の切なくて悲しい逸話です。
けれど本当は幸せを感じたから、このサブタイトルなのかな?(好きな人に触ってもらえた)
過去唯一、本来の自分としての感情を表に出せた事柄だったんだと思いました。
……
続く「サニー」がまた良い。
何もかも失くしたと絶望のスパイラルに落ちるのを救った「はんぺん」。
三井と一緒に笑いながら泣けて仕方ありませんでした。
……
そして描き下ろしで膨らむ妄想!
女じゃないと自分に言い聞かせながらトイレでア◯ニーとか!
これ絶対続き見たいやつなんだよ〜!!と身悶えしてしまいました。

局部は基本見えない構図ですが、一箇所だけ必然なものとしてうすく描かれています。
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