野ばら
」のレビュー

野ばら

雲田はるこ

優しく心温まる御本

ネタバレ
2022年2月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作「野ばら」他、短編2部収録。

「野ばら」
ゲイで子連れの四十路男。ちょっと珍しく別れた奥さんを自分に当て嵌めて考えました。結婚し子供も授かり幸せだと信じていたある日、パートナーからのカミングアウト。性癖は咎められない。ただどんな感情で一緒に暮らしていたのか、取り繕う愛の囁き全て偽りに感じ私は愛されていなかったという失望感。出来れば墓まで持っていって欲しいですね。でもこればっかりはしょうがない。だって他に好きな人ができたんでしょ?そんなの男も女も関係ないもん。そこに愛や信頼がないのなら、後は罪なき可愛い我が子を優先で話し合い、せめてコイツと一緒になって良かったくらいには思わせたい。などと妄想が暴走してしまいましたが、此方の男前の武ちゃん最高です。武ちゃんに全て持ってかれました。

「みみクンシリーズ」←凄くよかった!
女の子になりたかった男の娘みみちゃんの薫ちゃんより大事なものは無いという一世一代の決意に泣けてきちゃった。。ママの言うフェアな関係って言い方は嫌だけど、大好きだからこそ、これからも一緒にいれるように話し合える関係にってステキです。

「鳥の国のララバイ」
背中に鳥の羽の刺青があるゲイのバードと医師でクリスチャンのトキオがあるきっかけで共に旅をしていくストーリー展開が、ムービーっぽい流れで雰囲気がある。

どうしようもないもどかしさや葛藤が、ふんわり優しい懐かしい絵柄でほっこりと愛くるしく感じました。

素敵な御本をありがとうございます。

※しばらくお見かけしておりませんが、遠き海の向こうでもお元気でいらっしゃいますように。。此方は花粉が飛び始めもうすぐ春です。桜の花びらをお届けできないので、せめてもの野ばらです。
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