30までに死にたい【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
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30までに死にたい【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

星名あんじ

@読み放題 ネバーランドみたいな夢の楽園

ネタバレ
2022年2月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ うまく一言でまとめられない作品。でもこれ好き。
設定は破天荒、リアリティを求める作品ではないし、エロは(私的に)過剰で、アッパードラッグの雰囲気がある。それでも胸に迫るものが残るのは、綾生の存在が大きい。主人公は愛で、愛の変化も重要ポイントで良かったけども、自分に残ったものの核に居るのは綾生の方だった。
綾生のテンションの高さは躁っぽくて痛々しさを含んでいる。幸せを求めて、伶と二人一緒に愛してくれる誰かを夢見ている。フツウだったら子供時代に母親が与えてくれるであろう幸せを与えられず、綾生の中には泣くこともできない小さな子供が残っている感じで切ない。
描き下ろしの「楽園」で、綾生の心情が補強されているけど、そこでの「まだ見ぬ誰かを大事に大事にして、3人で仲良く暮らす」というくだりが、まるでお伽話の結末のようで、そんな夢を抱いている綾生を思うと涙が出る。
ラストで愛に対して「オカンみたい」と冗談を言っているけれど、その言葉には本人が意識しているよりずっと重みがあるんじゃないかと思えてしまう。
そう言えば、伶も家族に憧れてる様子があったし。
ピーターパンがウェンディをネバーランドに連れてきたのと重なって、こんな幸せが許されても良いと思わされた。
……ほんとまとまらないのが、夢に似ている。
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