バラ色の時代
」のレビュー

バラ色の時代

恋煩シビト

この作品の素晴らしさを伝えたい

ネタバレ
2022年2月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 心臓が細動して治らず目頭がいつまでも熱を持ち続けている、そんな感動をもらいました。
こだわりとして「好きという言葉と、わかりやすい幸せを全部排除した」とシビト先生が自らおっしゃた作品です。
評価が低いからとスルーしないでほしい。
ただ以下の方にはお勧めしません。
★ たとえ創作物中の極道でも浮気が許せない人。
★どんな理由でもNTRが絶対ダメな人。
★わかりやすい恋愛しか求めていない人。
逆に以上の3点がOKなら素晴らしい体験が待っています。
………
愛の無い結婚と寝取らせる事はこの作品の極めて重要なファクトです。
また人と人が寄り添う理由は、例え共依存だろうがストックホルム症候群だろうが、本人たちにとって他者に理解される筋合いのない些事です。(今作はどちらでも無い)
………
これ以降は私の勝手な解釈ですが読んで頂ければ幸いです。
………
大和が右介を手放せなかった理由は作中でも語られていますが、組を率いるという真っ黒な重責を全うする為の心の支えだったからです。
父がそうであったように、死を見届けてもらえるまで共に泥を被ってくれる存在が欲しかったからです。
好ましく思っていた右介に犠牲になってくれと懇願せずにはいられないほどの重責です。
男はバカで弱いから。
所有物扱いしたのは、右介に自分と共に生きる覚悟がまだ無い苛立ちと、右介を絡めとり続ける為でも有った思います。
まだ真っ白な「かたぎ」に戻れる可能性を持った右介に自分と同じ場所で汚れて欲しい。
それが組の為となり結果的に大和は右介と共に組の危機を乗り越えました。
吉原が娘を差し出したのと同等の価値が有ったと思うと破格な扱いでしょう。
NTRシチュとしてはめっちゃ滾るはずなのにちっともエロい気持ちになれない、大和も右介も読者も切ないシーンです。
右介が墨を入れた理由を考えるとこれも泣けてしまいます。それを怒って自分と同じ龍を入れさせた大和がもっと切ないです。
そして女は女同士でしか戦わない。
あのキスの後、選ばさせられていたと思っていた右介はやっと自らの意思で道を選んでいたと自覚をします。
決してオンナではありません。
居間での携帯のくだりで大和にもソレが伝わった。
姐さんも飲み込んで変わりました。
ラストの「幸せだ」をメリバにしなかったのもとても良かったです。
ただのBLではなく、魂の結束を深掘りした作品だと思います。
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