恋愛不安症の孤独~きみがくれたぬくもり 辰哉編~ 完全版【書き下ろしSS付き】【イラスト入り】
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恋愛不安症の孤独~きみがくれたぬくもり 辰哉編~ 完全版【書き下ろしSS付き】【イラスト入り】

伊勢原ささら/小椋ムク

難儀な男の成長記

ネタバレ
2022年2月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作『きみがくれたぬくもり』ではとんだやらかし美少年だったメイの従兄弟、辰哉編です。
(うっすらと辰哉の孤独やメイへの想いは漏れてましたが。)

留学から6年ぶりに帰国すると、父親の秘書によって会社・左門寺建設が乗っ取られ倒産の危機にあるという。
そこで大手ライバル会社・村雨コーポレーションの経営企画部部長、与謝野と出会い...てな始まりです。
メイへの贖罪、左門寺建設の立て直し&父親との関係、与謝野とのラブが上手く絡ませてあって充実感ありました。

メイにしてきた数々の酷い仕打ちをトラウマになるほど悔いていること、謝罪しようと訪ねるも逃げ出してしまうこと、もう向き合えないと夢に出るほど怯えること、自分を変えるため勇気を出して再び会いに行くことなど、辰哉の心の動きがしっかりと追えました。
特に、許されたいのに許されてはいけないと苦しみながら、メイの相変わらずの優しさに触れて気持ちを昇華できたところは良かったな。
メイの笑顔を見て声を聞いて、自分がそうさせたかったと打ちのめされたところから斎賀に感謝するまでに思えるようになったのは、与謝野が向こう岸で静かに待っててくれたから。

辰哉は御曹司で背負わされているものも大きく、大きな家に住みながらずっと孤独だったんですね。
元教育係や執事や父の部下など、辰哉を大事に思っていた人達もいたはずなのに...当時は気付けなかった...。

とにかく、与謝野の上質ぶりったら!
圧倒的な美貌で、仕事はむちゃくちゃできて、視野が広くて、優しくて、包容力があって、ひたすらに辰哉を大事にする。
そして彼は着実にすべてのビジョンを叶えていく...うーん完璧。

新しい扉を開けようと頑張る辰哉。
もうちょっと可愛げ出しなよと思うけど、きっとこれが不器用な辰哉。
全部わかってる与謝野にギャーギャー言いながら幸せにしてもらってください。
(2021年4月/226p)
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