オリンピア
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オリンピア

丸木戸マキ

ひと夏の夢のような...

ネタバレ
2022年2月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読み手によって解釈が変わるだろうこの作品。
まるでギリシャ彫刻のように美しく聡明なラブドール・半朱は、礼央の父を心で愛し、礼央に身体で愛され、やっとその役目を終えます。
父が礼央の代わりに半朱に愛情を注ぎ、礼央は半朱を通してそれを受け取った...ということでしょうか。
他の方のレビューにあるように、最後は蝋燭をフッと消されたような余韻で、礼央の表情が印象的でした。

ところで、たった25ページのこの作品で、いろいろなところに想いが飛んでってしまいました。
◇『オリンピア』はベルリンオリンピックの記録映画で、前半は「民族の祭典」、後半は「美の祭典」として公開されたそうです。
◇『マーラーの交響曲第3番』には削除された標題がありました。
初期:「幸福な生活-夏の夜の夢」⇒中期:「悦ばしき知識(楽しい学問)-夏の朝の夢」⇒最後:「夏の真昼の夢」⇒削除。
◇森茉莉先生の同性愛(のような)耽美小説『恋人たちの森』に、レオと半朱という名前が別短編で出てきますね。

私も「キッスを...」に胸が高鳴りました。
とりあえず脱がしてつんつんからのズポ、助平野郎からまさかの耽美な流れ。
ひと夏の夢のようなお話でした。
(2020年3月/25p)
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