このレビューはネタバレを含みます▼
あのころ…と語るモノローグに誘われ、気がつくと雨の降る中学三年のその場所に立っている。
皆さん書かれていますがモノローグの効果!1枚フィルターを通して見ているみたいな哀愁のある世界に一瞬で連れて来られた感覚になります。
優と美市の中学三年生として過ごした日々。進路や親との関係、大人になり切れないもどかしさとか。逃げたい事の方が多かった時期かな〜。
そういう焦燥感から逃げるための2人のかけおち。
大人の存在を嫌でも思い知らされるし、強いと思っていた友の壊れそうな姿も、そして思わず零れた好きという言葉。
そこで共有した2人の気持ちは確かに恋だった。
でもこれからの未来を思う時に、ごくごく自然に思い浮かぶ別々の道。予感。くーーっめちゃくちゃ切ない。
かけおちの終わりに「ちゃんとやれるか?」と言った優に「平気」と答えた美市。きっとこの先ずっとずっと支えになると思う。とても短いけど一生大事で特別なそういう時間だったと思う。
2人がどうなったかは想像するしかないけど、かたちを変えても大切な存在である事は間違いない。
誰もが持ってるあのころ感、他のどの時間でもない中学三年生の時間がここにあります。もう大分昔(笑)の事だけどしっかり感じられました。
優しくて情感のある桃子先生の絵も本当に素敵で涙が自然に流れてしまいます。良い作品ですね〜。
あのころに帰りたいと思った時にまた読もうと思います。