このレビューはネタバレを含みます▼
昭和の学生運動が盛んな時代、若者たちが声高らかに主張するそんな喧騒を横目に気付いてしまった視線。
大胆なコマ割りで数ページに渡って描かれる神谷と北條が求め合うシーンは、無声映画のようにただ漏れる吐息と熱さだけが伝わってくる。
この世界に二人だけしかいないんじゃないかと思わせる描き方がめちゃくちゃエモい。
時代設定はただの背景としてでは無く、学生運動に費やした時間や一緒に声をあげた仲間、失ったものの多さを何とか肯定して生きようと未来を見つめる若者の姿として描かれていてより胸が熱くなる。
後書きにサヨナラダケガ人生ダ /ならばまた来る春はなんだろう。この言葉を残した先達へのオマージュ。
色々な楽しみ方が出来る作品と書かれていました。
桜の咲く春の日、大人になったかつての仲間がこれからは「友達」でいてくれと言う。また春が来る度にこの日を想うんだろう。幸せだと笑う2人が泣くほど綺麗なシーン。
もうすぐ桜の季節、時代になろうとした若者たちへ思いを馳せながら花見でもしようかと思いました。笑
心をサワサワと揺さぶるような素敵な作品!