このレビューはネタバレを含みます▼
久しぶりに作者さんの作品購入しました。今作は人間の精気を食事にしている鬼の蓮×トラウマ持ちでお人好しな人間の京のお話で、表題作全5話+追憶(本編のスピンというか番外編的位置付け?)+表題作の描き下ろしで合計238ページ。身寄りを亡くし田舎で一人で暮らす京が、玄関先で倒れていた男を助けたところ、その男は実は人間の精気を食らう鬼で…というお話。最初に蓮がダブルピースで「鬼でーす」と軽ーく自己紹介してますが、終始そんな軽いノリです。最初二人が繋がる場面も、気持ちよくなるスイッチを押す…。タイミング的に早すぎるから仕方ないのかもですが、そこはちょっと心を通わせて快楽を得てほしかったかな。インキュバスものにありがちなイン紋のようなものと思えば良いのでしょうか。助けた男が鬼と分かってもあまり動じない京、肝が座っていると言えばそれまでなんですが、京の幼馴染の啓介さんが蓮を見た時もかなり普通のリアクションなんですよね。過去のトラウマから京は男が近くにいることがダメなはずなのに、なぜ蓮に対しては大丈夫なのか、その辺りももう少し掘り下げてほしかったかも。そもそも京のトラウマとなった事件もかなり深いはずなのに、その種明かしや克服もかなりあっさりしていました。鬼と人間の立場の違いでしんみりしそうな場面もまた軽くサラッと重さが回避されています。良く言えば重さがなくずっしりし過ぎないということなんですが、個人的にはもう少し重くても良かったかな。絵は綺麗で大好きなんですが、正直中田先生の作品でなければ★3つにしていたと思います。