焦がれて焦がして
」のレビュー

焦がれて焦がして

noji

ずっとし舞い込んでいた恋が動きだす。

ネタバレ
2022年3月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 悠次は、偶然再会した幼なじみの総一が酷く疲れた様子を心配して、自分が経営する店に連れて行き手料理を振る舞います。一人暮らしの総一はその温かな味に、思わずこぼれ落ちる涙。もうそれを目にしたら、毎日食べに来いと言ってしまう悠次。実は、悠次は幼い頃から秘かに総一のことを想っていました。
うーん、これは拗らせか?との心配も無く、ツーカーの幼なじみゆえに心が読めちゃいます。案外あっさりと互いに友情以上の心地好い愛情を確認仕合い、幼少延長のような、淡々とした同居生活が始まります。さらさら流れゆく小川のように、二人の心模様が進んで行きます。
「定年退職したら店を手伝ってやるから」と言う総一からの、一生もんのプロポーズの言葉を聞いて、影から覗いていた一読者の私めはホッと一安心。ここで手際よく花束を用意してあげたい!と、まるで身内のような馴れ馴れしい心境で二人を見守っていました。 この物語、誰も傷つくこともなく、掻きむしるような波風も無く、この何とも云えぬ、しなしなと流れて行く時間が実に心地好くて、読んでいる間も読み終えた後も幸せな気持ちになれました。
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