(youth)in the summer room.
」のレビュー

(youth)in the summer room.

コモトミ裕間

若者の未熟さを紐解くお話…と思いました。

ネタバレ
2022年3月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★暴力を振るう潤と暴力を受ける拓海の「好き」のカタチ。

★拓海は死にそうなくらい潤のことが好きだ…。

★お見事だな、と思いました。表紙の煽りに少々引いていましたが、『ようこそニューワールド』が好みの面白さで、こちらも読んでみました。やはり、好きな世界観でした。構成がお上手だと思います。終始ドキドキしていました。明かされていく事情と一つ一つの事象がリンクして、胸が痛みます。若者は傷つきやすいのです。多くを人のせいにして自分を正当化したがります。(これは人間性にもよりますね)そちら側にいるのが潤。傷つきながらも甘やかな愚直さを手放せなかったのが拓海かな、と思います。凶気じみた拓海の「好き」とは違うけれど、かつて潤ももっていた「好き」の気持ち。絡まりもつれた紐を解き、結び直したように笑い合う2人のコマ、「自由」を告げるシーンは、グッときました。(私も気づいていませんでしたよ)夏休みが終わり、新学期。心配性の拓海の母親は、転校や引っ越しを考えたと思うのです。拓海は、潤の近くにいるために逆らったんだろうな、と想像できます。2人が作った2人しか知らない世界。感傷に浸らず、想像を掻き立てるラストがとても好きでした。若者の心は、頑なでありながらやわらかいです。この無敵に思える関係性も変化していくのだと思うのですが、ひと夏かけて打ち込まれた楔は、2人を完全に離すことはないのだろうな、と思います。

★読み応えのある207ページ。純粋に煽りにあるようなプレイを楽しむお話ではないかな?と思いました。

★若者特有の未熟さを独特に表していて面白いと思うのですが(言い回しも好きです)、好みは分かれると思います。
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