その肌の熱さをおぼえてる
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その肌の熱さをおぼえてる

ジョゼ

不毛君を見つめ続けた不器用君に乾杯!

ネタバレ
2022年3月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自分がレビューを書こう、書きたいと思うのは、作品を読んで心が動いたときです。その理由は作品によって違うので、レビューを書くときは、自分の心がどうして動いたのかが伝わるといいな、と思いながら書いてます。
さて、
兄奏に長年片想いしている幸太郎を見て不毛な恋をしていると思いながら、その一途さを愛してしまった恋愛偏差値の高い弟、弦ちゃん。でも実は関係を壊すことができず見ているだけの幸太郎をそばにいながら見ているだけの不器用さん。この不毛を不器用が追う設定。しかも、寝ぼけている幸太郎を抱きしめたのは自分なのに、兄と勘違いされて…なんて、これだけで、満点あげたくなってしまうくらいときめくシチュです。

最初に読んだときは、それ以降大きな出来事が起きる訳ではない展開に、すぐにレビューを書くまでに心が動かなかったのですが、どうにも弦ちゃんが魅力的で放っておけない。繰り返しカラー扉絵を見ながら「あ、私まつ毛フェチなんだ」と自分の性癖に気付いたり(下まつ毛、白まつ毛いいですねえ。つけまつ毛を幾重にもつける某歌劇団を偏愛するうちにまつ毛フサフサ=美の構図ができてしまったようです。)、弦ちゃんの片想いしてきた時間を考え気持ちのひだに寄り添って時間をかけて読んでいるうちに、幸太郎が意識していないからこそする言動に傷付きそばにいるのが辛いと思う弦ちゃんの心情に気持ちがリンクして自然と泣けてしまったり、幸太郎からどこが好きなのか尋ねられて説明できないのもそれが自然だよねと共感してたり(最初は物足りなかったシーンなのに)、幼馴染から関係が変わっていき寄り添う姿それぞれが、一読目とは比べものにならないほどビビットに胸を打ちました。

幸太郎は、愛すべき純粋さが芯にあるけれど、さすがに色々無自覚が過ぎるぞ。奏は、どうして幸太郎は弦ちゃんでなくこちらを選んだの?と思わせる緩さがある。ほぼこの3人の関係を描いているこの作品のキモは、弦ちゃんの魅力で、彼の心情を知りたい、共感できると思えるかどうかで、評価が変わると思います。

私は、どうしてこの作品が引っかかるのか、掘り下げるうちに心が動くようになり作品の評価が上がりました!もし、一読目でピンと来なかった人がいたら、試しに繰り返して読んでみると、人物に共感できるかも。は〜、最後落としにかかった弦ちゃん、本領発揮でカッコ良かった〜、両想いおめでとう!乾杯!
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