呪って呪ってそれから愛して【コミックス版】
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呪って呪ってそれから愛して【コミックス版】

いとだ旬太

子どもが搾取されているリアルを掘り下げた

ネタバレ
2022年3月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 親に搾取され続ける2人の子どもたちのお話で、かなり闇が深いです。
攻めの塔太はまだマシですが(それでもけっこう痛い)、受けの悠人の闇はどうやって救うんだろう?ってくらい真っ暗です。
主役2人が闇深いのに、脇の先生の闇も深い。
この3人が病んだままセック スしています。
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構成は現在と、塔太の過去と悠人の過去が入り乱れてて、複雑に描かれています。
その上に脳内の描写も入ってくるので、ストーリーを理解する為には、どのコマが誰の過去か、どのセリフが誰が言った誰の記憶かを判断する必要があります。
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2人は過去に痛めつけられていますが、現在に至っても奪われ続けています。
塔太は病んだ先生からと母親から。
悠人はデジタルタトゥーから。
悠人の呪いは消す事ができません。
(※一度でも撮影されネットにアップされたものは未来永劫残り続けます。迂闊に自分でも他人でもupするなんて恐ろしい事は絶対にしちゃいけません※)
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授業内容がこんなに必要か?と思うほど描かれていますが、よく読むと今作の重要なガイドになっています。
①主人公の隙間に付け込んで入ってきた神…塔太の心の隙間に悠人が入り込み神もどきになった。
②苛立ちと憧憬を同時に覚えている主人公…悠人の正体を知った日に苛立ちの方を無かった事にした塔太の心。しかし後日コレを起点にして救済に向かう。
③帰納法と演繹法…「2人でいること」の意味が真逆になる。
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以上のことだけでも、作者さまは練りに練って作品を作り上げたとわかります。
ただでさえ理解されにくいテーマなのに、複雑にして難解な作品です。
しかし商用に迎合すると絶対に描いてもらえないレベルなので、すっごくレアです。
もう一度言います。
『メチャクチャ希少価値が高いです!!』
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今作は決してメリーバッドエンドではありません。
搾取され続けた子どもたちが、それでもまともになりたい、なろうともがいて、2人手を取り合って前を向くお話です。
闇耐性の高い方には是非とも読んで頂きたい作品だと思います。
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