ペンデュラム―獣人オメガバース―
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ペンデュラム―獣人オメガバース―

羽純ハナ

これからどんどんハマっていく予感

ネタバレ
2022年3月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 羽純先生、初のコミックスで獣人もの、さらにはオメガバースとの組み合わせという事ですが、初めてでこの世界観の仕上がりは素晴らしい!
獣人とか人外とかオメガバースとか、ファンタジー過ぎる設定に苦手意識がある方もいらっしゃるかと思いますが、選択肢を狭めてしまうのはもったいない。私もそうでしたから…でも、人×人であろうと獣人(人外含め)×人であろうと、根底にあるのは『愛』しかなくて、美しいものなんですよねぇ。種族を越えた愛って尊いです。

たった6歳で、Ωというだけで親に捨てられてしまったカイ。しかも、第二の性や発情期など何の知識も教えずにαの元に差し出すなんてなんて親。獣人の命を宿せるのは人間のΩのみ。Ωを道具のように考えるΩ差別がオメガバースの最も嫌な部分なんですが、そこを蹴散らすαルアードの愛にメロメロです。カイを引き取った事は、同情だったかもしれない。ですが、Ωも人間も関係なく区別することなく、一個の人間として尊重してくれるルアードに惚れてしまいます。
決して目に見えてわかる優しさではないし、ぶっきらぼうなんですが、いやいや伝わってくるんですよぉ~。優しさが、労りが。大切にしたい想いがそこかしこに見えて来ます。
居場所のなかったカイに温かくて心の休まる居場所をくれたルアード。ルアードそのものがカイの居場所なんです。幼い子供が懐いて、親しみを持つ気持ちが恋に変わるのも自然なこと。
来るべき発情期が来たら、αのものにと自然に考えてしまうのも、自分がΩであるという役割を理解したことで、それがなんだか切ない。ルアードしか見てなくて、ルアードしか考えられないカイが苦しむ姿が辛いね。愛しているのに不器用なんだよ、ルアードってば。魂の番とか、運命の番とか関係なく惹かれて行った二人が、やっと結ばれた時には拍手。ふぅ…αなのにモダモダしたねぇ。エチは一気に溢れ出すように求め合うのです。うふ。
作中に脇で登場した、ダート(Ω)とジュダ(獣人)の話もすごく気になるところで、連載中『レムナント』がスピンオフで楽しみです。こちらの巻末では二人のエピローグとして、幸せが運ばれて来たエピソードがあり、時系列が前後するような感じとなりますが、安心して読める保険と思って『レムナント』本編を読もうと思います。もう完全に世界観にハマりました。良かったぁ~。番外編はレムナント3巻で読めるそうで重複注意です。
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