孤島部長
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孤島部長

八海つむ

極限の状況に置かれながら平常運転の明るさ

2022年3月6日
限界で生きている特別過酷な島暮らしでも自分を見失わない古藤部長は、正にサラリーマンの鑑。素晴らしいリーダーシップで主人公をビシビシ鍛える。
極限の環境に放り込まれても、嘆いたり不満で不貞腐れず、激しい奪い合いなどはない。人間の醜さやエゴがそこまで強くは描かれない。日常的な人間関係構築や、怠慢や諦めや甘えからの脱却、責任感らしきものの成長。「日常業務」を通じて「研修」が進行する。一方で、古藤部長は部下の監督のほかに、自分なりのプロジェクトを立ち上げるような「仕事」人間。

この孤島のサバイバル設定が、巧みに利用されていて、救出がいつ来るともわからないような毎日の中でも、生きる知恵を駆使、ちょっとしたハウツー本風。規則正しく、自分の仕事を日々こなすことで、前向きに過ごしていく統制の取れた生活を続ける中に、大きな笑いの種がいくつもある。

そんな笑いを取る場面が多い為に、気持ちよく読み進めて行けてしまう。その感覚に才能を強く感じた。

全4巻は、とても手頃。
絵に、特に人物画に、多少同一感が弱いのもあるが、話が面白いので気にならない。
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