日の当たらない場所
」のレビュー

日の当たらない場所

たつもとみお

かつて置き去りにした故郷と初恋との再会

ネタバレ
2022年3月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 東京で友人らと地域振興のベンチャー企業を立ち上げた大島寛也の元に、故郷の島から仕事の依頼が舞い込みます。小さな島は細々とした漁業と観光しかなく財政危機に苦しんでいました。高校進学とともに島を出た寛也に電話をかけてきたのは、忘れられない初恋の相手•磯崎拓斗でした。健康的に日焼けした明るい拓斗は、不和だった両親が去った島に一人残り、島の為に働いていたのでした。日光アレルギーとゲイという二重の意味で日の当たらない場所にいる寛也が、一度は逃げた故郷の島に戻り、確執のある父親を始め、かつて自分を排除した島の再生に向けて一生懸命に働きます。それは15年の歳月を経て寛也が成長したこともありますが、たった一人で閉鎖的な島民を相手に奮闘してきた拓斗の存在が大きく、何度も壁に阻まれながらも二人はビジネスパートナーとして手を携え、淡い初恋を大人の恋へと育ててゆきます。単行本3冊分をかけて、二人の再会から島の再生と恋の成就への過程が描かれ、ワクワクしながら読みました。寛也と一緒にベンチャー企業を経営する二人の仲間も良きでした。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!