鬼の棲処【特別版】(イラスト付き)
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鬼の棲処【特別版】(イラスト付き)

栗城偲/コウキ。

「黒鬼」は処変われば美しい「夜」

ネタバレ
2022年3月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 赤髪の島では忌避される黒髪、人間扱いされず「黒鬼」と呼ばれ酷い仕打ちの中にいた受けが、突然やってきた第一王子の國に攫われて...。
受けが勉強家で、薬師としても努力するし、王子に対しても控えめながら素直に接する賢い子でした。
不遇な受けが優しい攻めに大事にしてもらえる王道のシンデレラストーリーですが、それだけじゃないってのが流石です!

受けの「黒鬼=夜」以外の登場人物の名前が出てきません。
あとがきにあるように、御伽噺風味が強まって素敵だなーと思いました。

攻めは第一王子でありながら、自分には王としての資質が欠けていると悩み、兄大好き弟と王位の譲り合い。
そして弟は人望はあるけれど赤髪で、國ではかつて忌み嫌われ流刑の地として島があるんですね。
その島で今は赤髪が黒髪を迫害するという...。

王子の「実は受けのこと...」ってのはちょっとあるあるだったけど良かったです。
誰にも気にかけてもらえてないと思っていた黒鬼は、ずっと遠くから見守ってもらってたんだね。
欲を言えばも少し先まで読みたかったな、王になる「王子」を支える「夜」とか。

[受け視点の本編+攻め視点の短編+受け幼馴染視点の短編]で計401pありますが、きれいにまとまっていてスイスイーっと読めました。
みなさんも書いてますね、受け幼馴染の「村長の息子」が人間味溢れてて共感しました。
当て馬ですらなかった彼ですが(結婚してる?しね)、彼なりに「黒鬼」を守ろうと頑張ってたし、ちゃんと伝わってたよ!
流れ着いたあの手紙(+牽制画)で何を想うのかなーと想像力を掻き立てられます。
(2016年8月/401p)
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