野干~お狐さまの言うとおり~
」のレビュー

野干~お狐さまの言うとおり~

三田六十

妖狐に魅入られるエッジの効いた短編です

ネタバレ
2022年3月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 雪に閉ざされた静かな温泉地にある小さなバーで語られるお話。語るのはバーのマスターの凛ちゃんで、店の外に置いてある冷蔵庫から油揚げが失くなるというものでした。誰が持ってゆくのか考えているうちに楽しくなってきた凛ちゃんは、ある日、足跡と、油揚げを持ち出す大きな狐を見つけ、追いかけて雪山に入って行くのでした。読んでいるうちに読者もくるりと不思議な世界に連れ出されてしまいます。しんしんと降る雪に囲まれた舞台背景も効果的な『紅椿』の作者さまらしい、短編ならではの後味の効いた幻想譚です。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!