式神の名は、鬼
」のレビュー

式神の名は、鬼

夜光花/笠井あゆみ

イケ鬼

ネタバレ
2022年3月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 今まで1巻完結の作品ばかり読んでましたがそう言えば続きものは読む機会がなかったなぁ。3巻あるだけあって読み応えがあり面白かったです!繰り返し読んでます。ファンタジーものでも現代ものでも面白ければ何でも読みますが陰陽師が主人公の作品は初です。陰陽師の櫂と妖怪を退ける為に封印を解かれた鬼の羅刹のストーリー。話が進む事に本来は敵対する立場の2人が関係性を深めていきます。作者さん曰く欠陥だらけという言葉通り櫂は突っ込み所満載なキャラです。面倒事を先延ばして向き合うのに時間を掛けてしまう様な性格で、同じ陰陽師の那都巳にも指摘されています。物語上で起こる大半のトラブルは彼の言動が起因してますし時々イラッとなりますw何なら鬼の羅刹に共感する方が多かったかも。周りの人に助けられてやってこれた感が強い印象ですね。そして羅刹は作中で1番成長したキャラではないでしょうか?櫂を守る様に房中術を掛けられているという前提ではあるものの少しずつ人間味が増していきますし自分自身が予想外な行動を取ったり感情的になったりした時にどう感じていたかを言葉に出来るのは興味深いシーンでした。セッの時も段々気遣いが出来る様になりイケメンならぬイケ鬼にw ストーリーの終盤で櫂は比丘尼によって不老不死に近い状態になってしまいますが人間として死にたいという考えで良かったです。ずっと羅刹と一緒にいられるのは確かに良いかもしれませんがきっとメリバエンドになりそうですから。ここからの羅刹の行動がまあイケ鬼!櫂を救う為に千寿の寺へ突撃訪問、人をこ ろさないと誓います。頼もしさが半端なかったですね。あと地味に気になるのが氷室家の食費。羅刹と草太のせいでエンゲル係数が相当高いとは思うのですが、月にいくら掛かっているのやら。伊織は初登場時、式神の方が出てくるので存在感薄めですが1番ヤバい奴でした。あの最期も仕方ないのかな…。櫂に祓われたのが救いです。比丘尼は考えが理解出来ないのでひたすら不気味です。(個人的にはスピンオフで少し印象変わりますが)妖怪が出てくる話なのでおどろおどろしい展開になるのは当然ですが九相図の前で一晩明かすのは依頼とはいえ怖すぎるwグロ耐性はありますがホラー苦手なのでビビりながら読んでました。表紙も2人の関係性が変化していく様が分かって良いですね。アンソロジーに後日談となる話があるのでラブラブな2人を見たいならそちらも是非。
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