臆病者に花束を
」のレビュー

臆病者に花束を

井ノ宮みや

音と香りは夕暮れの大気に漂う

ネタバレ
2022年3月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ ↑ピアノと花束という物語の2大モチーフから浮かんだドビュッシーのピアノ曲のタイトルです。八瀬馨は、駅でぶつかった拍子に持っていたコーヒーを、ピアニストで院生の墨染皓一の楽譜にぶちまけてしまいます。楽譜には書き込みが沢山されており、大切なものをダメにしたお詫びをしたいと言う馨に、授業があるからと墨染は足早に立ち去ります。何とか謝罪したい馨は駅で待つこと3度目で、やっとゆっくり会う約束を取り付けます。花屋でバイトする馨は、お詫びに自作の花束を受け取ってもらえることになります。ゲイであることを自覚してから、本音に蓋をするように生きてきた馨は、全く違う世界に生きる墨染に出逢い、どうしようも無く惹かれてゆきます。墨染もまた、経歴や実績ではなく墨染自身に好意を表す馨に気持ちが傾いてゆくのでした。突っこみどころはちょいちょいありますが、不思議ちゃん攻め×ワンコ受けのピュア系なお話です。『染まる青にキス』田舎街で藍を育てながら一人暮らす染色作家の吉野葵は、道に迷ったイギリス人のレオンを拾います。かなりの駆け足で展開し、あっさりと終わるので置いてきぼり感がありました。
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