このレビューはネタバレを含みます▼
最初、影に付き従う人間という不思議な関係に恐々と読み始めましたが、世界観やキャラたちのことが分かってくればくるほどどんどんのめりこんでいきました。
どうやってシャドーハウスを出し抜くかというのも面白いし、今までにシャドーハウスの中で起きた事件のことや、ミラーハウスがシャドーハウスに成り代わってしまったということも、その後人間の村が気づけばシャドーたちの支配下に収まっている現在のことも、どこを切り取っても面白いです。
そして、シャドーは元はモーフという妖精が人間の真似事をしているところから人格がスタートしていますが、結局は全然同じではなく人間には人間の、シャドーにはシャドーの個性がしっかりあって、シャドーは真っ黒で表情もないのに、それぞれが違うキャラだと認識できるほどキャラが立っていると感じます。
中でも、最初はリッキーだけの影響を受けて育ったパトリック様が初期は高慢な態度をしていたのに、「お披露目」以降いろんな人と交流するようになってリッキーとは違う人格が育ち始め、そしてシャドーではなく生き人形のエミリコを「好きになってしまった」と自覚し、時々そのせいで喜怒哀楽を見せるのがとても素敵でした。
いまは事件解決に向けての面白さで楽しんでいますが、エンディングに向けていろんなことが解決した後、こんなにも人間らしく育ったシャドーたちはどうなるのかそれはそれで心配だなと思いながら読んでいます。
パトリック様の恋心はとくに応援したい気持ちになってしまったのですが、どうなろうともなにかいい方向に向かうといいなと願っています。