蟷螂の檻
」のレビュー

蟷螂の檻

彩景でりこ

す、凄い…

ネタバレ
2022年3月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 長編の闇BLに耐えられるか心配だったけど、全然余裕で最後まで余所見もせずに終わりました!痛々しいし救いがあるのかも分からないのに、この人たちがどうなってしまうのか見届けずにはいられない。登場人物皆が辛くて苦しそうなのに、読み切った後の感情は何故か静かでした。読んでる最中はあんなに気持ちを振り回されてたのに…凄い作品だ(先生が凄いのか)。一般的な幸せが牢獄と感じてしまうように育てられた坊ちゃんが望んだ「檻」は…再会した典彦に見せたあの穏やかな笑顔…交わっていた色んなセリフが皆の最後にどんどん繋がっていく構成力に脱帽。天才か。酷く目も当てられないシーンなのに怖いもの見たさで覗いてしまうのは、私も典彦同様、坊ちゃんの全てを見たいと思ったからなんでしょうか。愛くるしさも、諦めた表情も、歪んだ顔も、求める雌顔も…目が離せないってこの事。全員が自分の行いと向き合う事でやっと道筋が見えてくる、何かを理由に人のせいにしていては何も掴めないよという訴えも感じる。典彦は恐怖だったけど、それでも人の子だと最後は感じてしまいました。読み手で色んな感想が出てきそうな闇BL、読んで損はないかと。
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