ハッピー・オブ・ジ・エンド
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ハッピー・オブ・ジ・エンド

おげれつたなか

瞳に命が宿る

ネタバレ
2022年4月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 完結したので追記です。
ずぅっと続編を心待ちにしておりました。
読んでわかるこの感動が…!涙
一巻と三巻の表紙のハオレンの瞳の違いに気づいた時、漫画で表現できることはまだまだ未知数なんだなぁと、漫画って奥が深いなぁと改めて感じ入ることができました。
目は口ほどに物を言うと言いますが、ずっとずっと底無しに暗く魂が抜けてしまったかのようにただ物を見るだけの人間の体の一部としてしか機能していないその瞳が輝きを取り戻せたことが本当に嬉しかった。
人から受けた傷は人にしか癒せないというのは真実です。
諦めないで、負けないで、すんでのところで思いとどまれたからこそのハッピーエンド。
この先も幸せでありますように!

あと同棲中の一コマでもいいので見てみたいです!

絵がさらに進化されている…!とまずそちらに感激しました。千紘とハオレンは似ているようで違うのかなと。千紘をゴミだと何度か言っている描写がありますが千紘は家族から除け者にされたとしても家も職もあったし少なくとも高校までは出ている。ハオレンはその生い立ちから戸籍があるのかも微妙です。同じなのは家族に捨てられそれでも家族を求め誰かに寄り添って欲しい自分を見て欲しい幸せになりたいという思い。思いが現実化するなら2人は出会うべくして出会ったのかなと思います。先生は人があまり直視したくないものをしっかりと描いて下さる方だなと思います。例えばお箸の持ち方、笑い方(個性といえばそれまでですが)アパートの契約話のくだりetc。そこからどんな人となりなのか生い立ちなのか人は想像するからです。彼らが直面した現実、他者から与えられた苦痛や尊厳を踏み躙る行為などは到底美化出来ません。けれどだからこそ彼らの間違いも同じく美化したり正当化出来ないと思うのです。どこに生まれ落ちたかという宿命は変えられません。人も変えられない。そこから情状酌量の余地は出てきても流されるだけであればまさに「ごみ」と同じでしょう。誰にもどこにも救済されない社会の底辺でこんなにもたくさんの人がいるのにどこまでも自分は一人でしか無い。それでも生きていたら…
人間のスタートは親から始まりますが幼少期に完全なる安全地帯を得られなかった時、人はどのような道を選ぶのでしょうか。それこそ十人十色。
過酷な人生で彼らが出会い、寄り添い慰め合える2人となれたことにおめでとう。
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