このレビューはネタバレを含みます▼
『バラ色の時代』の続編。ヤクザの組長となった片桐大和の息子、巽と智巳のお話です。24歳の巽は、自分の意思とは無関係にのしかかってくる後継と言うプレッシャーに駆られ、半グレのリーダーである羽沢辰吾とつるんでいます。辰吾に愛撫されて初めて自分の求めていたものを見つけたと感じた巽は、辰吾に愛していると伝えます。与え与えられる関係を築くつもりだった巽ですが、辰吾は数人の配下に巽への暴行を命じます。傷ついて帰宅した兄を、弟の智巳は「兄さんは俺が守る」と抱くのでした。智巳には組を継ぐ覚悟があり、巽を穏やかに癒し愛してくれます。智巳の優しい愛と、相手を傷つけることでしか表せない辰吾の愛、弱さ故の孤独を知る巽は、与えられる愛ではなく与える愛を選びます。辰吾と巽、智巳と巽、いずれも常識からは外れた歪な愛と、その化学反応を描く作品です。前作の主役•大和の愛人•右介の「1人だけでも自分を必要としてくれる人がいれば生きてゆける」と言うメッセージが全てを語っています。