秀逸!日記形式で描かれる心の機微





2022年4月11日
作者様の作品は、どれ読んでも私の好み!心に響くわぁ~。この作品を読んで満足しているのと同時に、未読の作品がまた一つ減っていくのがなんだか寂しくもあります。こちらは、真面目な翻訳家と彼女有りバスの運転手が友達になっていくところからです。でも、描かれているのは時系列がバラバラの日記形式。読みながら、何度も後戻りして、読み返してしまいましたー。ちゃんと時系列順になっていないから分かりにくいという点で好き嫌いがわかれるかもしれませんね。でも、分かりにくいからこそ何度も読み返して気づくことも多く、この作品の深みを出しているような気がします。私が無知だから調べてしまったタイトル。元ネタは「マザーグース」の歌詞の一節みたいですね。男の子は「ぼろきれ、かたつむり、犬のしっぽ」でできている。ちなみに、女の子は「おさとう、スパイス、素敵ななにもかも」からできているそうです。犬のしっぽとは使役犬が生後間もない頃切り落とされた「断尾」のことで、男の子の欲するものはどれも生活にはあまり役にたたなそうな、無価値なものばかり(人によって価値観は違うけど)。それに反して女の子の欲するものは、素敵ななにもかもという曖昧なゆるふわなものと、砂糖とスパイスという日常生活では価値の高い、現実的なものを押さえているんですね。そういうのを考えると、作中のみちこさんの言動もある意味頷けてしまいます。現実をちゃんと見れているというか…。この作品は叙事的に、説明の言葉とかなくて、絵でいろいろな事が表現されているので、読み返せば読み返すだけ、また新たな発見がありそう。私は好きだなぁ。それと、オレガノを栽培したくなりましたー(オレガノ購入、笑)。

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