NEVER GOOD ENOUGH
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NEVER GOOD ENOUGH

CTK

諸悪の根源

ネタバレ
2022年4月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 7年も付き合っていた恋人のニックに振られたルイ。傷心のルイの前に現れたニックの弟のテオ。初対面のテオに失礼な態度で不躾な質問をされ、思わず自分がニックを振ったと言ってしまうルイ。


始まり方が凄く不穏でテオの思惑もよく分からず、ルイと同様に腹を立てたり呆れたりしながら読んでいると、まだ若いテオが抱え込んでいる苦悩が見えてきて、強がるルイの切なさ悔しさに感情移入して読めた1巻までは面白かった。

でも、ニックが出てきてからは置いてきぼり感が強くなり、テオとルイの想いが向かい合っていくところを読ませたいのか、ニックとテオの複雑な思いを読ませたいのか分からなくなった。

なぜ、そんな風に感じてしまうのか、読み終わってその原因は諸悪の根源が描かれていないからだと思った。そのせいでニックとテオに刺さっている楔をきちんと理解できず、ニックがあっさりとルイを振った理由もテオがニックに執着する理由も上っ面の言葉でしか感じ取れない。

ニックとテオという兄弟を造り出した元凶を読者に見せてくれていたらこんな中途半端な読後感にならなかったと思うと残念でならない。
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