このレビューはネタバレを含みます▼
読み始めてすぐに、あ、これヤバいヤツと思って気軽に読み始めたことを後悔しました。夜読み始めて全巻、番外編や中の人諸々気付いたら朝方でした。(笑)
戦後の時代背景や田舎独特の風習や閉鎖的な環境から全体的に重苦しくて昏くて、そして退廃的な美しさがあります。そして歪ですね。
最初、典彦の思惑や感情が読み取れないのでどういう立ち位置なのかはっきりとした見解が欲しくてあらすじは必読でした。
登場人物ほとんどが狂っている中、何の力も持たなかった生娘のさちことチャラ男の飯田のみがまともで、2人の視点で物語を締結させる構成。そして1話冒頭シーンの柵のこちら側だった育郎が最期はあちら側になっているという…もう最初から最期まで緻密に練られててゾワゾワが止まりませんでした。
ただ、皆前向きに前進してる中、飯田のみが未だ育郎に囚われて探し続けているところが哀れで、一番割を食ってて可哀想でした。
明記されてないですが、蘭蔵と典彦が甥兼兄弟だったのか…それによって典彦への見方が変わってくるなって思いました。
育郎がキレイで可愛くていじらしくてすごく好きです。基本純愛ハッピーエンド派なので、途中飯田に掻っ攫って欲しかったけど、再会時の育郎のあの笑顔を見たらコレだなと納得。
もースゴイものを読ませてもらいました。多分これ1ヶ月くらい引きずりますね。後半の蘭蔵の無垢な笑顔が救いです。
あと逸れますが、昔も今も火傷にはハミ焼酎なのですね!(笑)