もしもし、亀さん。
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もしもし、亀さん。

佐居

屋上の広い空の下での出逢いと約束

ネタバレ
2022年4月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 高3になり、そろそろ進路を決めなければならない亀山は、ぼんやりとした不安に駆られるように屋上にサボりに来ます。そこでフェンスによじ登ろうとしている生徒を見つけ、慌てて引き摺り下ろします。てっきり身投げかと思ったのですが、フェンスに引っかかった羽根を取ろうとしただけだと言うその生徒は、亀山の名前を聞いて、亀さんと出逢った自分はうさぎだと名乗るのでした。同じ学年の筈なのに見覚えが無く、ケータイも持っていないと言ううさぎは、もしかすると幽霊かも?と亀山は考えますが、そんな亀山をうさぎは笑い飛ばします。将来や自分自身を不安に思う普通の高校生•亀山と、そんな亀山を羨ましいと言ううさぎ、2人の出逢いと会話を中心に描かれる40頁の短編です。うさぎと交わした小さな約束を、不安だらけの行く手の灯火として前に進むDKのピュアさが良きでした。語り過ぎないラストもきれいです。
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