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芦原妃名子

心の闇

ネタバレ
2022年4月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ こちらの作家さまは「Bread & Butter」しか読んだことなく、こんなに重たい作品を描く方だとは思っていませんでした。
大学2年のある日、高校の時の同級生が病気で亡くなり、参加した告別式で同級生の親御さんから頼まれごとをして…から始まるミステリーっぽいお話。
同級生が『生前どんな子だったか』と主人公とその周りの友人達?の心のカケラを探していくような、そんなお話でした。
主人公の水帆の人生も振り返りつつ、高校の一時期に心の近いところにいて親しくしていた、成海の生い立ちや人となりとかを欠けたパズルのピースを集めていく度に胸が苦しくなる。
水帆もどこか欠けてる感じがする子なので、成海も水帆と一緒にいるのが心地良かったんじゃないかな。
読んでいて前に何かでチラッと読んだ、ナチスの『子供に愛情を掛けずに機械的に世話したらどうなるか?』の実験が頭をよぎりました。
優しい声掛けもせずに機械的に世話された子供は確かほとんどまともに育たなかったんですよ。
大多数が死んじゃったんだか病気か何かになったりしたように記憶しています(記憶がぼやっとしてるので少し違うかも)。
親からの愛情を感じられていない、心が満たされていない子の方がいじめっ子や問題児になるケースが多い様に思います。
誰も完璧じゃないし、寂しかったりどこかズレてたり歪んでたり色々するのだけど…
成海兄弟の異常さは本人が悪いわけではないのが悲しい。
ラストは何となくそうかな?と思いながらも怖かった。
ってか成海母、何をどうなったらあんな気持ち悪い人が育つんだ?
読後感はブラックですが、読みながら考えていた『最悪のラスト』ではなかったので個人的にはそれだけでも良かった。
所謂ハッピーエンドではないし、暴力の描写もあるし心の闇とかを扱っている作品なので読む人を選ぶと思います。
久しぶりに重たい話で読み返せる気がしません。
今後のみんなの人生はどうなっていくのか…自分達なりの後悔しない生き方をしていって欲しいなと思いました。
作者さまが「砂時計」の切り口を変えた焼き直しと書かれていたので、そちらも読んでみようかなと思っています。
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