このレビューはネタバレを含みます▼
タイトルマッチを3カ月後に控え網膜剥離で引退、トレーナーになった一弥の前にボクサー志望の岳が現れる。幼い頃、義父に暴力を振られ続けた岳は一弥の試合を見て衝撃を受け自分も強くなりたいと、その足で保護施設へ向かう。中学卒業と同時にジムに入り、憧れの一弥の下で必死にトレーニングし栄光への階段を登っていく。「俺は輝く前に錆びついたボクサー、その悔しさの分お前を磨くのが楽しい」かつての目の輝きを取り戻し岳を育てることで自身の夢を叶える一弥はカッコいい。母の愛が自分を暴行する義父へと向けられてもなお母を信じ求め耐え続ける絶望の中、岳にとって一弥との出会いは光であり生きていく理由になったのだろう。「俺の一番は一弥さん。ボクシングじゃない」一途に直向きに一弥に向かう想いが切なくて泣ける。一弥の姉家族も良いね。彼らと共に過ごし、不幸だった子供の頃を昇華しようとする岳は健気だ。かつてタイトルマッチで一弥と対戦するはずだった因縁の相手、柳井も心に燻り続ける葛藤を抱える魅力的な男。もしボクサー岳が手に入ったら、自身の夢を投影し、無謀な挑戦に向かわなかったのかも知れないが、それでも解決しない後悔したくない思いがあったからの復帰なのだろう。奥が深い作品です。これ書いたら怒られるかなwこの物語を読んで白井とカーン博士を思い浮かべてた。もちろんBL部分を除くw命掛けた戦いには選手トレーナーとの間に家族のような愛情は必要不可欠なのかも。ファンの方ゴメンナサイ。