じじいの恋
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じじいの恋

黒江S介

唯一無二の空気感が最高。我続編所望す!

2022年4月24日
10歳で出会い、現在75歳の拓朗と小説家になった源太が織りなす物語。いいところのボンボンなのに、源太に対する純愛を日々更新している拓朗と、温度差のある源太との大阪弁で交わされる攻防と、時にシンクロしたり、逆に源太が攻めこんだりする会話がサイッコーに面白い!拓朗の孫の征士郎がイケメンで、3人で会話するシーンのテンポ感が更によき!
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拓朗は、源太が好きすぎて手を出すことができないまま高校を卒業し、一旦源太と離れて結婚し孫もいるものの、作中ではこの2人にしか出せない唯一無二の空気感を漂わせ、めちゃめちゃ笑わせるのに、不意打ちで感動させられる。キャラがみんな個性的でいい。作者さまのこの2人への愛情を感じ心が大いに動かされました。
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BLのように、2人が結ばれてカタルシスが、という展開になるわけではないけれど、高校生活最後では、クラスメイト含めて拓朗の味方になるほどの拓朗の想いと、その時期を経てのソウルメイトと言っても過言でないような繋がり。こんな関係性もええなあ、としみじみ思いました。この2人のやりとり、もっと見たい。関西に住んでいるので、セリフの書き文字の関西弁再現力の高さに感動。大阪人、特に妙齢の普通の男性同士の会話めちゃめちゃ面白いんですが、その底に恋心が流れているとしたらこんな感じなんだろうな。ギリギリどこかにいそうな、人物像が魅力的。続編希望です!
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読後、島で話題になっていると知りましたが、もし表題作をまるまる読みたかったら2巻からでも、冒頭にダイジェスト版が付いているので大丈夫。私は2巻の卒アルと体操着の話に大爆笑しました。1巻で離脱はもったいない!どうせ読むなら2巻を読んでみて欲しいです。
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1巻総179頁、表題作73頁、子ども目線で描かれた秀作おとんとてっちゃん、34頁、漫画家とリーマンの出会いを描いたお兄ちゃんとメロリーナ、32頁、リーマン同士の関係性を描いた斉藤くんはめんどうくさい、31頁
2巻総180頁、表題作の本編、書き下ろし2本
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