鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?
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鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?

小中大豆/みずかねりょう

面白かった

ネタバレ
2022年4月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さまには珍しい?芸能界モノ。
売れっ子天才カメラマンの紹惟×元子役の崖っぷちアイドル永利。
一途な永利に対して、永利と長年身体の関係があっても紹惟は『仕事のために(作品を良くするために)必要とあらば誰とでも寝る人』なのが切ない。
芸術肌だから仕方ないのか?と思いつつも、気持ちがどこにあるのか、優しいのか冷たいのか分からない感じが読めなくて怖かった。
紹惟のミューズとなり身体の関係は持ちつつも想いを伝えられることはなく、自分だけ素直になる事も出来ない永利が不憫。
新たに永利ともう1人の新しいミューズとの写真集・ドラマなどに使われる『白雪姫』のモチーフも趣味が悪い。
まるで紹惟の寵愛を無くした『魔女(宰相に置き換えてる)』の永利が『白雪姫(新しいミューズの子)』に奪われることを暗示してるようで。
また紹惟のクセなのか、永利を精神的に囲い込んで公私ともに紹惟に依存させていたのでお互いの殻を破るための粗治療にもなったのだけど…
主人公の永利がモデル兼俳優なので、お芝居とか感情を身体で表現することが好きな人はそういう意味でも楽しめるんじゃないかな。
恋愛だけじゃなくてお芝居の葛藤とかヒリヒリする感じがとてもリアルで良かったです。
周りのマネージャーや俳優さん達もいい人が多くて永利と一緒にヤキモキもやもやしつつも楽しく読めました。
書き下ろしは本編では何を考えてるのか分かりにくかった(本編の最後にも語られますが)紹惟目線で心の内が知れて良かったです。
彼もかなりのカッコつけの拗らせ大人で、永利の独りよがりじゃなかったことが分かって安心しました。
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