センスオブワンダー
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センスオブワンダー

草間さかえ

『ワンダーフォーゲル』続編

2022年5月9日
前作で点と点のままだった様々な事柄が少しずつ線になっていき、それでも点のままのような置き去りにされたようなものもあり、それが不思議といい余韻となる作品。


稜とイブ先生は出版社のパーティーで沖縄から上京し、これを機会にゆうとの謎を解き明かそうと思い出の場所を巡る。

しろう君から見た事実とゆうとの身に起きた事実、ゆうとのおじいさんや父親の行動の意味、全てが明確に判明したわけではないけれど、既に祖父と父親は故人だから分からないことは多いし、生きている者が折り合いをつけて納得できたらそれでいいのではないかと思った。


前作はミステリー風味が強く、本作は稜とイブ先生に焦点が当たったラブストーリーになっていて、前作の謎がスパイス的に扱われているのが面白い。ただ、謎解きを楽しみに読んでしまうとがっかりしてしまうかもしれない。
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