さらば!追放された薬師の聖女はもう国には帰りません。手柄を全部横取りされたのでまったりポーションを作ります
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さらば!追放された薬師の聖女はもう国には帰りません。手柄を全部横取りされたのでまったりポーションを作ります

古森きり/ももしき

これでヒロインは、幸せになれるのか?

2022年5月11日
途中までは良かった。勧善懲悪でスッキリできるかな?と期待していました。でも、極悪王女スティリアをギャフンと言わせた後、国王以下王族、重臣、そして国民が揃った聖獣祭で王太子ルシアスがヒロインを婚約者で第一王妃にすると宣言したあたりで、ものすごい違和感に襲われたわけです。ルシアスが、突然の婚約者宣言にびっくりしているヒロインに対し、「そもそも薬師の聖女を第一妃として迎えることになっていたのだから、(偽物を排除した今)王妃となるのは君だ。」と言っている点、最初から3人の婚約者がいて、近々そのうちの2人を娶ると宣言している点、獣人と人間族との間ではほとんど子ができない点、この3つを総合して考えると、王太子ルシアスの冷酷な超腹黒ぶりが見えてしまいます。(もともと、行商人としてヒロインに接触していた時から違和感はありました。薬師の能力を使わせるばかりで、甘さゼロでしたよね。)彼は、4聖獣すべての加護を得た凄腕の薬師であるヒロインを他国へ渡さないために、自分の第一妃として囲い込みたいだけで、ヒロインを完全に「都合のいい駒」として扱っていますよね。そして、先に2人の妃を娶って子作りに入ることを宣言しており、人間族とは子ができにくいことを考えると、後から後宮に入るヒロインは、単なるお飾り。普通に恋をして、愛する人との子を産み、育むという普通の人間としての幸せを手にするチャンスを奪われ、ルシアスと他の妃が子供と幸せそうにしているのをただ眺めるしかできず、「聖女様」として敬われ、都合よくその能力を搾取されるだけ…の飼い殺し、という訳ですか。結局、前と何も変わらないということに思い至ってしまいました。ヒロインミーアは、これで幸せになれるんでしょうか?それともこの作品は、見かけとは違って最初からそういう意図で書かれたのでしょうか?続編があるなら、なんか極悪王女も「実は私、悪魔だったのよねー。」とか言いながら復活してきそうだし、この作品結構黒いですね。
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