愛してって君は言う
」のレビュー

愛してって君は言う

桃尻ひばり

アンドロイドに求めるロマンティシズム

ネタバレ
2022年5月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ AI 搭載のアンドロイド x コールドスリープから目覚めた元ホスト。
200年後、更に…の未来を描いたSFです。
アンドロイドが世界を支配している作品は、ターミネーターやマトリックスで馴染みがあります。
今作品もそうであり、人間は特権階級にあるアンドロイドのペットとして繁殖・管理され、思考することをやめてしまっています。
稀少価値の高い主人公とバグのあるアンドロイドとの恋は純粋で美しく、BLとしてとても楽しめました。
しかし私が感動したのは、アンドロイドが人間に似せて在り続け、あくまでも人間を監護しながら存在しているという世界観です。
AIが意思を持ち自らの存在だけを考えるのであれば、外観も思考パターンも人間に似せる必要はありません。
もっと効率的に世界を変えて然りです。
作品中、天然の人間である主人公の味方はたった1人のように描かれていますが、実はAIの中枢には決して人を裏切らず、あくまでも保護対象であり愛すべき対象である世界なわけです。
機械にロマンを感じてしまう変態脳の、ズレた感動ポイントかもです。
が、アンドロイド作品に触れるたびハイスペックで人間など到底敵わないAIがあくまでも根底には人を守り抜く根源がある。
たとえ意思を勝ち取ったとしても決して裏切らない。
そこを求めて止みません。
今作品はそんな願いを叶えてくれた大好きな物語りです。

もちろんBLなのでエロいシーンもたくさん描かれています。
アンドロイドが相手だと萎えるかも…という懸念を払うため、AIに感情を芽生えさせています。
人の命の短さゆえの2人の行く末に悲しみまで感じてしまいますが、この世界のAIならば主人公をサイボーグ化して少しでも寿命を延ばしてくれそうです。

修正はライトセーバーでした。
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