2丁目の小さな魚
」のレビュー

2丁目の小さな魚

河井英槻

小さな魚のように大きな体を震わせて…ケナゲ

ネタバレ
2022年5月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★先輩×後輩の再会、ラーメン屋で一目惚れしたインド人×リーマン、他SS、大人×子どもの雨のち晴れ…な短編集。(5/29までお得ですよ)

★上司に連れられて行ったニューハーフパブで、高校の後輩が、女の姿で灰皿を替えてくれた…。

★作者様の感性がとても好き。それは言葉に乗り、視線に絡まり、作品の空気を作り上げていていて、その世界に浸るのが癖になります。シビアな恐れが切なく胸に刺さるのですけど、気持ちの寄せ方が、作者様ならではですよ。「歴代彼女〜」のくだり、これは面食らいますね。一歩間違えると大事故…にさせない紙一重のバランス感覚が、素晴らしいと思います。先輩、ヤバいなーと、舌を巻きましたよ苦笑。一読の価値アリと私的には思いますけど、評価は分かれていますね。

★路地裏的物語4編(2ページのSS含)172ページ。どの作品も、もれなく好きでした。長身の元ヤンが好きな人の前で震えて泣く様は、まるで小さな魚…。秒で恋に落ちる軽男が流血しても繋がりたいと請う…どちらも胸詰まる健気さ。そんな受けさんたちが恋する攻め'sは…飄々としてるのがいいのよね。先輩の余裕さはいっそ憎らしいですけど笑。(あの化粧もずるいわー)インド人の彼(nameless)は、チャーミングね。

★「サニーサイド」…子どもが知らないところにある大人たちの思惑と本心、傷ついても「イヤな〜」と思える子どもの無邪気さ(明るさ)…この余韻と余白が好きだなー。
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