ゆきしろ、ばらべに―少年傑作集―
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ゆきしろ、ばらべに―少年傑作集―

鳩山郁子

「ルケッタ」が一番好き

2022年5月22日
表題作+読み切り5篇+作品年表(2012年時点)。
読み切りのうち3篇は、「限定BOX」(端正に作られた紙箱の中に、漫画冊子と共に刺繍糸などの小物が収められた、アートと本の狭間にあるような作品)として月兎社から発行されたものの漫画部分。入手困難品なので、こうして単行本かつ電子化されたのはグッジョブ。
作品年表中の単行本未収録作は、2022年現在、ほぼ単行本(未電子化((訂正))電子化されているのもアリ)に収録されたり単話電子配信されたりして読めるようになっています。
表題作は、同名グリム童話をベースにした、グリム童話そのものへのオマージュ。割とライトで著者ご本人も楽しんで描かれた雰囲気。書物への愛着も。オマージュ作品としては文句なしですが、鳩山作品として見たいのはそういうのではないため、これは星3つ。残りの短編が星5つ。色々ありがたい1冊ではあるものの、総合星4つ。
・「ニオラの黒い騎士」(13p)朝顔に、寄宿学校の遊戯的秘密を絡めて。
・「ルケッタ」(22p)修道院と伝説と、祈りに似た幻想。
・「すみれとピッケルハウベ」(20p)少年と祖父の絆、なんとも切ない。
・「白い金平糖の島」(32p)少年キュリアコを中心に結晶する夢。海の音、金平糖作りの大盥の音、甘く溶ける金平糖とアニスシード、夢とうつつの溶け合うような。
・「少年ロンド」(5p)初期作品。描かれた楽譜が美しい。
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