著者の集大成的傑作





2022年5月22日
軍の通信用に使われた移動鳩をモチーフとして擬人化した作品。表紙を見るとわかるとおり、鳩山郁子が描いた少年の集団ってそれだけで、反則だろってくらいの迫力があって良いですね。ダークロマン、という宣伝文句はちょっとドロっとした印象があってしっくり来ないんですが、他になんと表現すべきかは……私的には、月明かりの無い星の夜空の澄明さを感じます。
少年、鳩、友情、生と死、祈り、今まで著者が描いてきたかなりの要素をこの作品という“箱”に収めたような、集大成と呼べる傑作。
予備知識として「箱のアーティスト」と呼ばれる、ジョゼフ・コーネルのことを、ググってすぐわかる程度にでも知っておくと良いと思います(私自身それくらいか以下しか知りませんが、大丈夫だと……信じたい)。コーネルの姿をしたマスターなる人物が、作中に「銀河鉄道の夜・初期形第三次稿」のブルカニロ博士の趣で登場します……と書いてて気付きましたが、これは鳩山版「銀河鐵道の夜」なのかもしれません。
あと、作中に登場する箱のモデルとなっているのが、コーネルの作品「鳩小屋:アメリカーナ」だそうです。
It’s not my pigeon ーーーそれは私の知ったことじゃない、そんな言葉から動き始めたダヴィーと鳩たちの「世界」をめぐる物語(個人の印象です)。鳩の羽ばたき、見えなくてもそこに存在する昼間の星、多層的な世界とさまざまな美しいきらめきを著者の言葉と絵から受け取りつつ。最後には、かつて人間が戦いのために利用した彼等の魂にどうか安息がもたらされていますようにという祈りと共に、ダヴィーが全ての鳩の信書管に託した簡素にして重い言葉を受け取りたい。
……という真面目な思いを抱くと同時に、ダヴィーとマティエスコの関係性に湧き上がる感情に悶えますね!
約200ページ。お値段は大判の紙本に合わせてなので仕方ない。
少年、鳩、友情、生と死、祈り、今まで著者が描いてきたかなりの要素をこの作品という“箱”に収めたような、集大成と呼べる傑作。
予備知識として「箱のアーティスト」と呼ばれる、ジョゼフ・コーネルのことを、ググってすぐわかる程度にでも知っておくと良いと思います(私自身それくらいか以下しか知りませんが、大丈夫だと……信じたい)。コーネルの姿をしたマスターなる人物が、作中に「銀河鉄道の夜・初期形第三次稿」のブルカニロ博士の趣で登場します……と書いてて気付きましたが、これは鳩山版「銀河鐵道の夜」なのかもしれません。
あと、作中に登場する箱のモデルとなっているのが、コーネルの作品「鳩小屋:アメリカーナ」だそうです。
It’s not my pigeon ーーーそれは私の知ったことじゃない、そんな言葉から動き始めたダヴィーと鳩たちの「世界」をめぐる物語(個人の印象です)。鳩の羽ばたき、見えなくてもそこに存在する昼間の星、多層的な世界とさまざまな美しいきらめきを著者の言葉と絵から受け取りつつ。最後には、かつて人間が戦いのために利用した彼等の魂にどうか安息がもたらされていますようにという祈りと共に、ダヴィーが全ての鳩の信書管に託した簡素にして重い言葉を受け取りたい。
……という真面目な思いを抱くと同時に、ダヴィーとマティエスコの関係性に湧き上がる感情に悶えますね!
約200ページ。お値段は大判の紙本に合わせてなので仕方ない。

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