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麻生ミツ晃

考えさせられる作品

ネタバレ
2022年5月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 麻生ミツ晃先生で、2013年の作品なので少し古めです。でもさすがとしか言いようがないですね!先生の描く作品の中で比べると、この作品は痛い感じとかかわいそうな感じは低めではありますが、そうきたか!と息を呑みました。
前半は須藤と真木が思ったより早くそういう関係になり、真木の想いが強かったことと、その想いが須藤に瞬時に伝わったことに驚きましたが、比較的静かな雰囲気だったんです。麻生先生の作品なのに穏やかやなぁ〜と思ったら途中から雲行きが怪しくなってきました。周りの大人たちも須藤父も本当嫌な感じで、メールとか写真とかあからさまな悪口とか卑怯な手口とか、2人がどんどん追い込まれて行くのにこちらも疲弊しそうになりましたね。こんな世の中嫌だ!って思いましたし、真木くんが弱って行くのを見ていられなくなって、2人の決断にもそうせざるを得ないんだろうなって。でも自分が選んだことなのに、想いが溢れ出して、ああ言えばよかったと後悔する電車の真木の姿に私も涙しちゃうほど。
そしてまさかの須藤です。もう何か呆然としちゃいましたね。欲しいとは思っていなかったけど自分がそうだと知った時の虚無感は簡単には押し測れないと思います。欲しい!諦めたくない!好き!という想いの強さに大きな感動をもらいました。

静かな雰囲気の中でたくさんの人の想いが交錯し、少しずつ明かされる2人の過去や想いや秘密。生きづらそうに苦しさを抱えていた2人が、周りを気にすることなく未来に向かって歩き出していきます。最後は希望に満ちていて、その美しさにまた涙しました。
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