蟷螂の檻
」のレビュー

蟷螂の檻

彩景でりこ

苦しいけど読んでよかった。

ネタバレ
2022年5月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 5巻、表紙をみただけで胸がいっぱいになりずーっと読めませんでしたがついに読了。典彦、生まれながらのサイコパスとかじゃなかったんですね。罪悪感なく父親を殺めてしまえるような哀しい生い立ちだったとは。ラスト、自ら脚の腱を切りどこへもいかないという育郎を前にしてもなお渇きがいえない、満たされないと苦しむ典彦がなんかもうたまらなく不憫になってしまいました。対する育郎の、すべてを受け入れたような、はたまた手に入れたかのような、穏やかで満足そうな表情が印象的でした。診療所を出てからの2人の運命、生死は読者に委ねられている感じですが、私は典彦は、生きている限り育郎と生きる幸せ以上に、どうしようもない虚無感や寂しさ、苦しみから解放されないような気がしてしまい…ハピエン命の自分がこんなこと書くのは信じられないけれど、今はすべてから解き放たれて安らかにいてほしいなんて考えてしまうのです…。そして次に生まれ変わったらまた2人出会ってただただ幸せな人生を添い遂げてほしいのです…。
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