2丁目の小さな魚
」のレビュー

2丁目の小さな魚

河井英槻

絵柄と表題作が特に好き

ネタバレ
2022年5月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●「切ない恋物語を4話収録」と言っていいのか…2本目の『1丁目』は2ページのみです(切ない系でもない)。個人的には、しっとりした絵柄と、1本目の表題作『2丁目』がすごく好きでした(えっちまではいってませんが)。
●憲二が春信を好きで好きでしょうがないのが全ページから伝わる。春信から憲二への視線も熱くて、態度も言葉も優しくて、両片想いでは…?と思ったけど、昔はそうではなかったっぽい。これは勝手な想像ですが、音信不通になって初めて、春信は憲二がとても大切な存在だったって気付いたんじゃないかな…そして再会。
●花の似合う女の子になりたかった、春信の手で髪に挿してほしかった…春信が憲二のためにこっそり髪飾りを買っていたのがめちゃくちゃ良かった。涙も想いも溢れちゃうよね…
●『四丁目』はインド人の彼と一瞬で恋に落ちた三船のお話。彼がわりと無表情で淡々としてるから、三船は不安なのかもしれないなぁ…早く繋がりたくて、無理しちゃう。でも繋がれなくてもそばにいたい。ホントは彼も、三船溺愛なのにね。2話で失恋しちゃった後輩くんに幸あれ。
●『サニーサイド』は田舎の閉塞感の中で最後に別れを選ぶ、どうしようもない切なさのお話。サラリーマン高山と高校生?の秀。詳しくは描かれてないけど、あまり良い家庭環境ではなさそうな秀。高山に求めたのは父性だったか恋情だったか。飄々としていた高山の方が涙を流すのが印象的でした。
●元々そういう作風の作者さんなのかもしれませんが、後半はいっそう淡々としていて、少し煙に巻かれた感じがしてます。言い方を変えれば、余韻の残る1冊だと思います。
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