レプリカント ―羊のドリーを愛するということ―【電子限定描き下ろし漫画付き】
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レプリカント ―羊のドリーを愛するということ―【電子限定描き下ろし漫画付き】

山田すぽこん

SF好き注意(めちゃネタバレ)

ネタバレ
2022年6月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 全110ページ。絵はきれいで好み、漫画として読みやすかったため星2つ。

最後まで読んでまず叫びたくなったのが、
「羊のドリーを!愛して無えぇぇぇーーーー!!(ちゃぶ台ガシャーン)」
でした。
タイトルが「レプリカント」でサブタイトルに「羊のドリーを愛するということ」でBLじゃないですか。クローンはホンモノとどう違うのか、好きな人のクローンを愛するのは「本人」としてなのか「別人」としてなのかっていう話だと思うじゃないですか? 少なくともSF好きはそう期待するはず。作品内容文を見ても、自分にはそっち方向に行くとしか思えませんでした。
しかし、主人公クリスと結ばれたのはクローンと入れ替わったセス本人。挙句、クリスは最期までセスにクローンを演じ続けさせて「本当はわかってた」って手紙を遺すとか……いや、ちょっとは謝れよって……。自己満足の極みに感じられ、個人的に非常に苦手でした。セス気の毒すぎる。
一応、クローンの人権なんかにも触れられているものの、それはそれ、クリスとセスはまた別の話、って感じで、ひとつの物語としてはバラついてしまった感じ。

この題名にふさわしいのはむしろ、セス(クローン)とクリスティーナ(クローンの臓器移植を受けた)の方で、そちらが結婚後どう絆を深めていったのか、クローンセスであることに気付いてからのクリスティーナの苦悩(自分が最初から愛し続けていると思っていたセスが「レプリカ」であったことや、愛する人がクローンなのにクローンを利用して生き残った自分)とかそれでもなおクローンセスに注ぐ愛情とかを脳内補完して溜飲を下げてます。
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