ブルーブラッドヴァンパイア【電子限定おまけ付き】
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ブルーブラッドヴァンパイア【電子限定おまけ付き】

冥花すゐ

痛みを伴う愛

ネタバレ
2022年6月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 冥花先生のお話は全てにおいて、何かしら特大の対価を払いながらようやく焦がれたものが手に入るお話ですが今回の舞台は吸血鬼がいる世界。

ー…ブルーブラッドヴァンパイアに会ったら逃げろ。

◆吸血鬼ハンターの先輩でもあった亡き養父に教わった言い付けを守らず、殺されかけても養父に恥じない自分でありたい。けれど、ブルーブラッドヴァンパイアの前では圧倒的に力が足りず成す術もなく抵抗せずにいた受。◆攻はブルーブラッドヴァンパイアの中でも変わり者と呼ばれ、1000年も生きているが故に全てが退屈でたまらなかった。だからこそ花に準えた運命の伴侶を探していたが、彼岸花がよく似合う受と出会い過去出会った花嫁たちとは違う眼差しに目が離せなくなり…


□殺伐とした空気に染みてくる狂喜さは毎回、演出が凄いんですよ…先生が描かれる攻もしくは受、飛び抜けて我が強い。ハッピーエンドだけど苦味が生じるし、何というか、人間臭いというか「それでもやっぱり俺は」と、流されないからこそ痛みを纏いながら抗って手に入った時のキャラの恍惚な顔がもう、まさに狂喜。これだから読むの止められね〜って私もまさに同じような顔になっちゃうんですよね。

トーンも必要最低限なので、話も相まってより一層宗教画感を得られるし何より狂気な話も好きなので最高〜ですよ…

やっぱり…何度見返してもアジュールが理解できない部分があったんだけど、アジュールは捧げられたり奪うより「誰かから求められたかった」「(あまりに長い年月の中で)生きる意味が欲しかった」「生きる意味(存在価値をくれる)のためには家族を捧げる(=痛みを伴う)」「それを気づかせてくれた秋夜が欲しい」「秋夜が向ける感情が全て自分に向いて欲しい」ってことだよね。秋夜は生きる意味を叶えてくれるアジュールに愛よりかはペット扱いに近いかもだけど、愛情が少しはなきゃあんな顔しない気がするし……何度でも読み返しちゃうんだよなぁ…

今作大好きになった方、是非、既刊も見てね!
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