このレビューはネタバレを含みます▼
映画化やドラマ化でお名前は良く見るけれど、映像化されたものもあらすじくらいしか見た事がなく、ざっと見た中で一番サラッと読めそうな作品を選びました。
いやもう、とても良かった。出逢いの時と再会した後との印象の違いも物凄く自然で、飴屋の行動も成田がお兄ちゃんポジで終わってしまう所以も説明的では無く読んでていつの間にか「そうなるよね」って納得してしてしまってて。
良い人だらけでは無くて、人間の嫌な部分も結構出てくるし、話のベースになる部分はかなり重いものだったりはするのだけれど、のばらも含めた3人の心根の真っ直ぐさと、成田祖父と論くんのほのぼの爺孫関係で重さよりも温かさと優しさを感じられる作品になってて暗い気持ちにならずに読めました。
何より文章が綺麗。日常のシーンも過去の邂逅シーンも夢も滑らかに繋がって、表現がシンプルで感覚的にすんなりと言葉が入ってくる。
あと、わざわざそれっぽい難解な漢字の単語並べなくてもこんなに艶めいて高まるシーンが書けるのだなと。ホントに色っぽくて、愛されてる感満載で。
中盤から皆の気持ちが切なくて泣きながら読んでました。
論くん目線のSSがこの先の波乱を匂わせてますが、続きはないのですかね?
残念ですが、これはこれとして、他の作品もジャンル問わず読んでみたいと思います。