鬼の花嫁
」のレビュー

鬼の花嫁

クレハ/白谷ゆう

女性を小ばかにした内容。稚拙な溺愛。

ネタバレ
2022年6月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ ターゲット読者が明らかに年少向けであろうから、ある程度の稚拙な内容や文体はともかくとして。読んでいて背筋が凍ったのは、全編に漂う男性ルッキズム、そして女性をとことん小ばかにした(作者は気付いていないだろうが)、男性の地位や見た目で自分の優劣が決まるという、女側の虎の威(鬼の威?笑)の借りっぷりと、さらには溺愛という名の下の男の束縛。これで本当に世の読者は「これぞ運命の愛だわ!」とかうっとりしているんでしょうか?大丈夫ですか?花嫁に選ばれるのは本能かなんか説明しがたいものなのでしょうけれども、描写が浅いからまったく運命を感じさせず。そもそもスケールも小さい。一番受け付けられないのは、玲夜がとにかく柚子の学びや仕事の選択を制限してくること。男のカワイイ嫉妬心で、いかにこの鬼が彼女を溺愛してるか!っていうのを描きたいのか知らんが、セキュリティ上の問題ではなくちょっとでも男がいるとイヤだからとかいうそんなしょーもない理由で彼女の選択を狭めるなんぞ、ただのモラハラ野郎。男側の身勝手な嫉妬心で女性の自立・向上の機会を阻むなんて、しかもそこで主人公に妥協させてるなんて。まあ、結局言われた通りの料理学校へちょろっと通っただけでお店を持たせてもらえる世界観だから、良いのか。こんな、まったく何の学びも向上もない諸々の設定で、女性に夢を見させてあげてるのよと言いたいのだったら、戦慄を覚える。
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