≠ ノットイコール
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≠ ノットイコール

池玲文

心揺さぶられる作品

ネタバレ
2022年6月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 池玲文先生の色気のある絵がとても好きで、美しい表紙につられて購入しました。こちらの作品は先生の熱量をとても感じて心揺さぶられる作品でした。一般受けしない血の繋がった親子の話なのですが、先生があとがきで「倫理観はとても大事な感覚だからこそ、常に懐疑的でなければならない(略)」と書かれていて、敢えてこのテーマに挑む先生の熱量にますます先生のファンになりました。タイムスリップして自分より若い父親に出会うストーリー…惹かれ合う以外に選択肢はないかのような運命的な展開ですが、生まれた時からずっと一緒に暮らしていたらこうはならなかったんだろうなという皮肉のようなものを感じます。人間の都合や欲やそういったものが2人の育つ環境に影響し、だからこそ愛されたくてお互い相手に愛を求めてしまう…。自由恋愛が可能な現代においても2人は許されない関係ですが、この作品の中で1番純粋で美しいのは2人の気持ちなのかなと感じました。(言葉は適切ではないかもしれませんが)正しくないのに美しくて尊い、そんな揺さぶり攻撃を先生からくらいながらも、最後までお話を見守ることができました。地雷の方もいるかもしれませんので、誰にでもおすすめよと気軽には言えませんが、大切に読み直したいなと思える作品でした。
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